基本的な展開図の作成

簡単な立体図形の展開図について,draw で描き, 紙に印刷し,ハサミで切り抜いて, 実際に組み立ててみよう.


単純な立体図形の展開図

多面体のような単純な立体図形であれば, 平面の展開図に描き変える作業は, 特に難しくないだろう. --- もちろん,難しさは,題材の複雑さにもよる.

下図は,立方体と三角柱の平面展開の例だ.

立方体 三角柱
立体図形
展開例1
展開例2

一般に,展開方法は複数通りある. 上図の例だけがすべてではない. 他にどんな展開方法が可能か? また,他の多面体についても考えてみよう.


実際に組み立て可能な展開図

では逆に,展開図から立体へ再構成する作業についてはどうだろうか? 現実のペーパークラフトの場合,次のような問題があるだろう:

さらに,この授業では,次の制約条件も課す:

これらの条件のため,上に示した展開図のように, 単に,立体を平面に分解すれば OK, とはならない. 実際の組み立てを可能とするために, 特別な仕掛けや工夫が必要になる. --- このあたりが, 理想(数学的・科学的な分析)と現実(工学的な開発)のちがいだ.

下図は,実際に組み立て可能な三角柱の展開図を draw で作成した例だ.

このように接合部分に適切に「ベロ」を追加すれば, ベロ同士が噛み合って解けづらくなり, 接着剤なしで組み立て可能になる. 他の実例としては,菓子箱などの構造が参考になるだろう.

展開図の例:


接合部の寸法合わせ

ペーパークラフトの辺と辺との接合部について,当然, 両辺の長さが正確に一致していなければならない. しかし,接合部に斜辺を含むような場合, 辺同士の寸法合わせが困難になる. たとえば,直角三角柱の展開図を想像してみよう...

Draw の手動操作での作図では, 頂点座標を整数としてしか正確には指定できないので, 水平辺と垂直辺の長さは常に整数だが, 斜辺の長さは一般には実数だ. つまり,斜辺と水平辺を接合したくても, 長さが一致しないので, キレイに接合できないことになる. (無理に接合しようとすると,シワや隙間や破れが発生してしまう.)

こんな場合には,仕方がないので, ちょっとだけズルをしよう. 斜辺の傾斜を少しだけ変更し, すべての辺の長さが整数になるようにすればよい. たとえば,3:4:5 等,都合のよい直角三角形 「ピタゴラスの三角形」がある.


練習問題

Draw で多面体のペーパークラフトを作成せよ.

題材については,自由に決めてよいが, できるだけ斜辺を含むものに挑戦し, ピタゴラスの三角形を利用してみよう. また,作図が完了したら, プリンタで紙に印刷し, ハサミで切り抜き, 実際に組み立ててみよう. そしてさらに,改善してみよう:

問題例:

注意事項:

印刷方法:

[ファイル]→[印刷] または [Ctrl]+[P]→ プリンタ:klps→ [印刷]

今回は印刷先を白黒プリンタ(klps)とすること.


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