釧路高専第3回若手理・工学セミナーを開催しました

釧路高専第3回若手理・工学セミナーを開催しました

8月8日(金)及び9日(土)の2日間,本校大講義室において,全国各地から多くの分野の研究者,大学院生に参加いただき,第3回の若手理・工学セミナーを開催しました。
本セミナーでは,本校から一般教育科の村上公一先生,岡 康之先生,機械工学科の福地孝平先生,電気工学科の斎藤誠紀先生,電子工学科の大前洸斗先生,情報工学科の鈴木未央先生が発表を行い,一般参加者17名に加え,本校の学生も6名参加し,分野を越えた熱い議論や質疑応答が繰り広げられました。
また,本校の学生からも,研究内容や大学生活に関する質問が出るなど,大変有意義な機会となりました。
なお,第4回若手理・工学セミナーは,2014年の年末に開催を予定しています。

お問い合わせは,世話人の福地孝平(本校機械工学科)までよろしくお願いします。
電話: 0154-57-7297
e-mail: k_fukuchi@mech.kushiro-ct.ac.jp

本セミナーの講演プログラムは,こちらです。
具体的な発表内容は以下のとおりになっております。

「鈴木未央先生」(本校情報工学科 助教)

題目:
ユーザとの対話による印象を考慮した演奏表情の生成

アブストラクト:
本講演では,形容詞で表される印象を反映する対話型演奏表情生成システムについて述べる。
本システムは,ユーザとの対話により演奏表情の修正を行い,ユーザが思い描く印象が反映された演奏表情を生成する。修正の際には,ユーザは修正前の演奏表情がどの程度印象を反映しているか,また,「もっと明るい」のような言葉でどのように修正したいかをシステムへ入力する。
主観評価実験の結果,本システムは実験参加者の印象を反映した演奏表情を生成できることがわかった。


鈴木先生の発表の様子

「斎藤誠紀先生」(本校電気工学科 助教)

題目:
分子シミュレーションによるタングステン繊維状ナノ構造形成条件の検討

アブストラクト:
タングステンにHeガスプラズマを照射すると,fuzzとよばれる繊維状のナノ構造が形成されることが知られている。しかし,同じ希ガスであっても,Ne, Arガスプラズマではfuzzの形成は確認されていない。
本研究では,タングステンにHe, Ne, Ar原子を打ち込む二体衝突近似シミュレーションを行い,その侵入長を調べることで,Ne, Arガスプラズマ照射によるfuzz形成の可能性を検討する。


斎藤先生の発表の様子

「鈴木俊夫さん」(筑波大学数理物質科学研究科数学専攻 博士後期課程1年)

題目:
連続関数のウェーブレット展開に関する無条件収束性について

アブストラクト:
フーリエ級数展開の収束性は,一様ノルムでよく議論される。
本講演では,ウェーブレット展開に関しても収束性を一様ノルムで考える。連続関数であっても,なめらかなウェーブレットを用いた展開式が無条件収束しなくなってしまうような具体例を構成することができたので報告する。


鈴木さんの発表の様子

「竹崎太智さん」(長岡技術科学大学電気電子情報工学専攻 修士課程1年)

題目:
パルスパワー装置による超音速プラズマ流の生成と実験室宇宙物理への展望

アブストラクト:
宇宙空間にて発生する衝撃波は電磁界により散逸することから, 無衝突衝撃波と呼ばれている。 この衝撃波を実験室で再現するには, 超音速プラズマ流を生成し, 適切な磁場を印加することが必要となる。
本研究は無衝突衝撃波を再現するため, パルスパワー装置により超音速プラズマ流を生成し, 実験および数値解析から評価した。
数値解析結果は, 実験結果と良く一致するプラズマ挙動を示した。


竹崎さんの発表の様子

「木下真也さん」(名古屋大学大学院多元数理科学研究科 博士後期課程1年)

題目:
The Cauchy problem of nonlinear Schrodinger equations below L2

アブストラクト:
非線形シュレディンガー方程式の初期値問題を考える。非線形項としてpure-power型もしくはHartree型を与える。
初期値が負の正則性をもつ場合の適切性に関してはほとんど結果が得られていなかったが, 最近の研究によって球対称性, もしくはある程度の角度正則性を仮定すれば適切性が得られることがわかっている。
本講演ではその手法と結果を紹介する。


木下さんの発表の様子

「岡 康之先生」(本校一般教育科 准教授)

題目:
ハイゼンベルグ群上の正則閉集合に台を持つ緩増加超関数の特徴付け

アブストラクト:
熱核の手法を用いてハイゼンベルグ群上の正則閉集合に台を持つ緩増加超関数の特徴づけを行う。
今回定義するハイゼンベルグ群上の正則閉集合では,ユークリッド空間上の正則閉集合の場合の並行議論が出来ないので,その問題点がどこにあるのかを本講演で指摘したい。


岡先生の発表の様子

「福地孝平先生」(本校機械工学科 助教)

題目:
炭素繊維含有アルミニウム基高熱伝導複合材料の表面の機械的性質と内部構造の関係

アブストラクト:
軽量,高熱伝導率のアルミニウム(Al)に対して,さらに高い熱伝導率や引張り強度を有するカーボンナノチューブ(CNT)などのナノ・マイクロサイズの炭素繊維を含有した高熱伝導Al基複合材料が開発されている。
本発表では,複合材料の製造方法と熱および強度特性などの機械的性質について説明し,解決すべき課題と現在の取り組みを紹介する。

「香川智修先生」(東京都市大学 非常勤講師)

題目:
Heat kernel and Schroedinger kernel on the Heisenberg group

アブストラクト:
Heisenberg群上のsub-Laplacianに対する熱核およびSchroedinger核の構成について解説し,熱核とSchroedinger核との関係について論じる。
熱核についてはFourier変換および固有関数展開(Mehler核)を用いて構成することができるが,Schroedinger核の構成については熱核の時間パラメーターを複素化し,実方向に0に右極限をとることから得られることを示す。
さらにそれらを用いてどのような応用ができるかについてお話する予定である。


香川先生の発表の様子

「大前洸斗先生」(本校電子工学科 助教)

題目:
希薄磁性半導体ZnSnAs2:Mnについて

アブストラクト:
本発表では,近年注目を集めている半導体スピントロニクスの実現を目的としたInP基板上への室温強磁性材料Mn-doped ZnSnAs2(ZnSnAs2:Mn)のヘテロエピタキシャル成長に関する研究成果について報告する。
ここでは主に,分子線エピタキシー法によるZnSnAs2:Mnの結晶成長と結晶構造評価について発表する。
ZnSnAs2:Mn薄膜はInP基板上に擬格子整合して結晶成長することが確認された。
また,ホール効果測定の結果,異常ホール効果が観測され,キャリアとMnスピンの相互作用が確認された。


大前先生の発表の様子

「平山浩之さん」(名古屋大学大学院多元数理科学研究科 学振特別研究員PD)

題目:
Well-posedness and scattering for nonlinear Schr?dinger equations with a derivative nonlinearity at the scaling critical regularity

アブストラクト:
1階の微分を含む非線型シュレディンガー方程式の適切性について考える。
非線型項が未知関数の複素共役のみに依存する場合, 非線型相互作用による共鳴が生じず, スケール劣臨界なソボレフ空間における適切性が得られることが知られている(Gruenrock ‘2000)。
本講演では, スケール臨界なソボレフ空間における適切性および解の散乱について得られた結果について報告する。


平山さんの発表の様子

「二瓶泰範先生」
(大阪府立大学大学院工学研究科海洋システム工学分野 准教授,
東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構
次世代風力発電システムの創成寄付講座 主任研究員)

題目:
浮体式洋上風力の研究開発動向,浮体式風車における風車と浮体動揺の連成について

アブストラクト:
世界的に浮体式洋上風力の研究開発が行われている。ノルウェー,アメリカ,フランス,日本で大きなプロジェクトが動いている。
本発表では最初に浮体式洋上風力の研究開発動向について述べる。
浮体式洋上風力は風車の空力影響により浮体に様々な影響を及ぼすことが予想される。そこで本発表では風車と浮体の相互影響について,いくつかの実験・数値計算によって明らかになった,または明らかにしている内容について例示する。


二瓶先生の発表の様子

「村上公一先生」(本校一般教育科 准教授)

題目:
光円錐ゲージ超弦の場の理論におけるコンタクト項発散の問題と次元正則化の試み

アブストラクト:
近年,弦理論の非摂動論的側面においておおきな進展があり,弦理論の非摂動論的な定式化を与えることが課題になっている。
本研究では,弦理論の非摂動論的な定式化において,重要なカギとなると考えられている弦の場の理論について,特に,超対称な場合に,理論の構成の妨げになってきたコンタクト項の発散の問題の解決に取り組んだ。
この発散を正則化するために,我々が近年提唱し研究している次元正則化の処方について報告する。


村上先生の発表の様子