釧路工業高等専門学校では、夢と希望に溢れる15歳の若者に入学していただいて、5年一貫の体験重視型教育により、科学や技術で人々や社会の「幸せ」に貢献できる人財(「人」は社会の「財」産という意味)を育成しています。国立高専では、卒業までに達成すべき到達目標を「モデルコアカリキュラム」として定めています。どの国立高専を卒業しても同等な実力を修得できます。
私どもは、エンジニアのことを「ソーシャル・ドクター」と呼んでいます。病院のメディカル・ドクターではないですが、ソーシャル・ドクターとは、社会が病気になれば治療し、あるいは病気にならないように予防できる人財です。また、ソーシャル・ドクターは、新しい価値、新しい考え方、新しい方法を生み出すという「クリエーター」の側面も持ち合わせています。こうした人財は、まさに社会の「宝」です。中学生の皆さん、本校で一緒に学び、未来のソーシャル・ドクターになりませんか。
本校は、全国に51ある国立高専の一つとして、昭和40年に創立しました。平成16年度には、より高度な技術に対応するため、本科5年卒業後に進学する2年間の専攻科が設置されました。本科5年卒業生には「準学士」の称号が与えられ、専攻科修了生には、大学改革支援・学位授与機構より「学士」(大学卒業生と同じ学位)が授与されます。平成28年度入学者からは、急速なグローバル化や産業構造の変化に対応するため、学科を改組し、1学科3コース5分野制の教育体制といたしました。学科名は「創造工学科」です。専門分野の枠を超えた広い視野で課題の本質を理解し、北海道の未来、引いては我が国の未来を切り拓いていく人財を育成するという「想い」が込められています。本校は約60年の歴史を持ち、人財育成で社会の発展に大きく貢献してきました。
現在、本校では、入学当初の1年間は混合学級制です。一般科目を中心に学び、全ての専門分野の基礎を体験学習します。1年間掛けて自分に適した専門分野を見出し、2年進級時に専門分野(情報工学、機械工学、電気工学、電子工学、建築学の5つの中から1つ)を選んで所属します。
本校の教育の魅力・特色は、大括りに次の三点にまとめることができます。
一つ目は、「インプットする力」の育成です。授業における思考体験と実験実習における実践体験を組み合わせ、知識を必要な場面で自在に使いこなす域まで理解を深めています。理論を学ぶと共に、実験実習によるフィールドワークを通じて、学生たちは実力を大きく成長させています。
二つ目は、「知恵の教育」です。現実社会の課題を探求することで、課題解決の「知恵」をアウトプットする力を育んでいます。4年次の必修科目「複合融合演習」では、学生たちは異なる専門分野の仲間とチームを組み、現実社会の課題に対峙し、「課題解決のアイデア創出」、「プロトタイプ(試作品)づくり」、「ユーザ等の現場の声を聴いてプロトタイプを改善」するといった一連のプロセスを体験学習します。こうしたフィールドワークを通じて、社会で必要とされるチームワーク、コミュニケーション力、課題発見・解決力、チャレンジ精神を育んでいます。また、課題解決にチャレンジすることで、社会貢献への「大きな志」も育んでいます。
三つ目は、興味あることに夢中になれる校風です。個々の興味・関心に応じ、コンテスト活動(ロボットコンテスト、プログラミングコンテスト、デザインコンペティション等)、国際交流(例年、フィンランド、タイ、ベトナム、フィリピン等の海外研修に参加する在校生は併せて50人程度)、部活動や文化祭などの課外活動など、幅広い選択肢があります。学生たちは、多くの選択肢の中から、自分にとって最も興味あることを探し出し、夢中に取り組むことができます。
大学受験に妨げられることなく学べるからこそ、学生たちは思い切ったチャレンジができ、結果として、大学生にも負けない実力を獲得しています。例年、求人倍率は30倍を超え、就職希望者は有力企業に就職します。また、進学希望者は、北海道大学や高専に関係の深い長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学などの国公立大学への3年次編入学、あるいは本校専攻科へ進学します。
中学生の皆さんにとって、ユニークな特長を持つ「高専」が進路の選択肢の一つに加わることは大きなメリットです。是非、中学生の皆さん並びに保護者の皆さまには、本校のオープンキャンパス、高専祭(本校の文化祭)、個別相談会、公開講座等にご参加いただき、本校の魅力・特色をさらに実感いただけると嬉しく思います。本校ウェブサイトやYouTubeにも情報を発信していますので、ご視聴いただけると幸いです。
本校では、未来のソーシャル・ドクターになりたい中学生の皆さんを大いに歓迎いたします。そして、教職員一同、本校で学びたい中学生の皆さんに4月の入学式でお会いできることを心から楽しみにいたしております。
釧路工業高等専門学校長
大塚 友彦