校長からのメッセージ~中学生の皆さんへ~

校長からのメッセージ~中学生の皆さんへ~

 私たちの生活は科学技術が支えています。例えば、身の周りで「当たり前」のようにバスや電車が安全に運行しています。最近では、小学生でも、「当たり前」のようにタブレットやスマートフォンでインターネットを利用しています。実は、世の中の「当たり前」を当たり前に動かしているのは「科学技術」なのです。今は、科学技術が私たちの日常生活を支えている時代と言えるでしょう。そして、科学技術の進歩のスピードは、年々加速しています。新しい科学技術を生み出したり、幅広い分野に応用したり、社会をより良い方向に変革できる人が「技術者」です。釧路工業高等専門学校では、科学技術で未来社会を担う技術者を育成しています。

 本校は、全国51ある国立高専の一つとして昭和40年に設立されました。本校では、中学卒業後に入学し、5年一貫教育により、卒業後も社会で活躍し続ける技術者を育成しています。平成16年には、より高度な技術に対応できる人財育成のため、本科5年卒業後に進む2年間の専攻科が設置されました。本科5年卒業生には準学士の称号が、専攻科修了生には大学改革支援・学位授与機構から大学卒業と同じ学士の学位が授与されます。本校は創立以来50数年の歴史をもち、技術者育成で社会の発展に寄与しています。

 高専の特長は5年あるいは7年の15歳から始まる早期一貫の技術者教育にあります。1年生から一般科目と専門科目をともに学び、学年が進むにつれて、徐々に専門科目の割合を増やしていく教育手法をとっています。これにより5年あるいは7年で無理なく「世界レベル」の高度な専門知識とスキルを修得することができます。

 また、実験や実習が多いのも高専教育の特色の一つです。原理・原則を学ぶとともに、実験や実習を通じて、実際に自分の眼で現象を観察し、自分の手で実体験することにより、理解をさらに深めることができます。レポート課題に取り組むことで、実験結果を考察する力も育みます。

 さらに、本科5年の卒業研究、専攻科の特別研究では、「誰も答えを知らない課題」にチャレンジします。高専における学びの「総まとめ」となる研究活動では、先生方から一方的に教わるだけではなく、必要な知識やスキルを自分で調べて修得し、友人と学び合ったりして、新しいアイディアを生み出す力を高めていきます。卒業研究や特別研究を通じ、自ら考えて行動する力、問題の本質を見抜く力、コミュニケーション力、チームワークならびに学び続ける姿勢などを身につけていきます。同時に、社会に役立つことの大切さも学んでいきます。こうした実力やマインドが育まれていることが、高専卒業生が社会から高く評価される結果に繋がっています。

 就職に関しては毎年数十倍という高い求人倍率を誇り、卒業生、修了生の多くは企業の実践的技術者として活躍しています。また、本科5年卒業後に北海道大学など著名な大学の3年次に編入学し、あるいは専攻科修了後に大学院に進み、その後企業の技術者だけでなく、大学・高専の教員やいろいろな研究機関の研究者として活躍している人もたくさんいます。

 本校では、近年の急速なグローバル化や産業界の変化に対応するため、平成28年度入学生より学科を改組し、これまでの5学科体制から1学科3コース制の教育体制としました。学科名は「創造工学科」です。分野の枠を越えた広い視野で問題の本質をとらえ、日本の未来あるいは北海道を中心とした地域の未来を切り拓いていく人財を育てるという思いが込められています。2年次に進むときに、「スマートメカニクスコース」「エレクトロニクスコース」「建築デザインコース」3つのコースの中から自分に適した専門分野を選ぶことができます。

 科学や技術に興味・関心があり、将来、グローバルに活躍したい人、あるいは地域の発展に貢献したい人など、科学技術で未来社会を担いたいという夢と希望を持つ人に、是非、入学して欲しいと思います。

釧路工業高等専門学校 校長 大塚 友彦