釧路高専第4回若手理・工学セミナーを開催しました

釧路高専第4回若手理・工学セミナーを開催しました

 平成26年12月19日(金)及び20日(土)の2日間,本校大講義室において,日本各地から様々な分野の研究者にお集まりいただき,第4回の若手理・工学セミナーを開催しました。

 本セミナーでは,本校から建築学科 佐藤 哲先生,一般教育科 梅津 裕志先生が発表を行い,機械工学科 高橋 剛先生,福地 孝平先生,建築学科 桒原 浩平先生,一般教育科 村上 公一先生,岡 康之先生が座長として参加しました。一般参加者16名に加え,本校の学生も25名参加し,分野を越えた熱い議論や質疑応答が繰り広げられました。
 また,本校の学生からも,研究内容に関する質問が出るなど,大変有意義な機会となりました。
 なお,第5回若手理・工学セミナーは,2015年夏の開催を予定しております。

 お問い合わせは,世話人の福地孝平(本校機械工学科)までよろしくお願いします。
電話: 0154-57-7297
e-mail: k_fukuchi@mech.kushiro-ct.ac.jp

本セミナーの講演プログラムは,こちらです。

具体的な発表内容は以下のとおりになっております。

「佐藤 哲先生」(本校建築学科 准教授)

題目:
公共サービスとしての活用を目的とした住情報データベース

アブストラクト:
我が国の高齢者の住まい形態は,住宅行政と福祉行政の連携,協力が不十分で,複雑で分かりにくく,地域住民が第二の人生を自ら構築するための情報が整理されていない。本研究では,福祉,住宅行政の枠を超え,web上で横断的に高齢者の住まい情報を収集,提供すると同時に,時々の住民ニーズを正確に把握することのできる統合型のシステムを提案する。また,同システムを流用し,もう一つの大きな社会問題である空き家の増加に歯止めをかけるシステムの提案をする。


佐藤先生の発表の様子

「香川 智修先生」(東京都市大学 非常勤講師)

題目:
The Hermite function expansions of the Heaviside function

アブストラクト:
二乗可積分関数空間の固有関数であるHermite関数を用いた緩増加超関数の特徴付けに関する具体例の計算について報告する。1971年B.Simon氏によって,緩増加超関数の空間のHermite関数を用いた特徴付けを得られた。その具体例としてHeaviside関数のHermite関数展開の展開係数,さらにそれを用いて,Cauchyの主値のHermite関数展開の展開係数等を,漸化式を用いずに表すことについて報告する予定である。


香川先生の発表の様子

「梅津 裕志先生」(本校一般教育科 准教授)

題目:
非可換等質ケーラー多様体上のゲージ理論

アブストラクト:
Karabegovによるケーラー多様体の変形量子化の方法を用いて,複素射影空間と複素双曲空間上の非可換積を具体的に構成する。非可換積の下での関数のなす代数を調べ,フォック表示を与える。
上記の方法によって変形量子化されたケーラー多様体上での微分について調べる。非可換積を用いた交換子が1階微分になる(高階微分を含まない)ことと,ケーラー多様体上のキリングベクトル場との対応について述べる。上記の微分の構成に基づき,等質ケーラー多様体上の非可換ゲージ理論を構成する。


梅津先生の発表の様子

「梅田 耕平研究員」(北海道大学大学院理学研究院 専門研究員)

題目:
多変数ラプラス超関数の理論について

アブストラクト:
一変数ラプラス超関数の理論は小松彦三郎氏により導入され,我々は超関数の枠組みの中で任意の増大度条件を持つ関数に対してもラプラス変換を扱うことが出来るようになった。
本研究は,小松氏により導入されたラプラス超関数の理論を多変数に拡張することである。北海道大学の本多尚文氏との共同研究である。本講演では,多変数ラプラス超関数の層とその大域的切断に対するラプラス変換の構成について報告する。


梅田研究員の発表の様子

「下嶋 賢先生」(沖縄工業高等専門学校機械システム工学科 准教授)

題目:
沖縄高専機械システム工学科の設備紹介ならびに水中衝撃波を用いた食品加工技術

アブストラクト:
沖縄高専機械システム工学科の設備紹介として,5軸制御マシニングセンタ,3次元座標測定器,μCTスキャン装置などの概要を説明する。
また,筆者が近年取り組んでいる研究紹介として,「水中衝撃波を用いた食品加工装置」の概要を紹介する。本装置の機械的,電気的装置の概要.これまで行った食品加工の事例とその効果について紹介する。


下嶋先生の発表の様子

「寺木 悠人研究員」(理化学研究所 基礎科学特別研究員)

題目:
パルサー星雲の終端衝撃波近傍の粒子加速

アブストラクト:
中性子星の周囲に形成されるパルサー星雲は,終端衝撃波領域で加速された電子と陽電子がシンクロトロン放射を行うことで光っていると考えられている。本講演ではパルサー星雲の概要の説明からはじめ,この天体における主な粒子加速機構と考えられる衝撃波統計加速の問題点と,その解決案として現在研究している「強い超光速電磁波乱流」による加速機構を紹介したい。


発表者の寺木研究員

「長田 剛先生」(東京都市大学共通教育部自然系 准教授)

題目:
相対論的散逸流体における非平衡部分の分離

アブストラクト:
宇宙開闢後10〜100万分の1秒における条件下では,その高い温度,高い物質密度の為,物質を構成する素粒子であるクォークとグルオンのプラズマ状態であったと考えられている。このような状態における物質の振る舞いを記述する理論の有力候補が相対論的流体模型である。
本講演では,この模型の初期条件を設定する上での問題点を紹介した上で,特に平衡状態と非平衡状態の分離に関する新しい研究成果を紹介する。


長田先生の発表の様子

「菊池 崇志先生」(長岡技術科学大学大学院工学研究科原子力安全系 准教授)

題目:
重イオン慣性核融合

アブストラクト:
次世代の発電方式として期待されている核融合発電は,プラズマの究極の応用であり,様々な分野に跨がる学際的な研究テーマとなっている。パルスパワー技術に基づいた慣性閉じ込め型の制御熱核融合方式では,地球惑星科学と同様の高圧物性の研究が必要であり,不明瞭な点が多い。大強度の重イオンビームを用いた方法では,従来の粒子加速器で生成される粒子ビームと大きく異なるパラメータの粒子ビームを扱うため,研究開発が必要とされている。重イオン慣性核融合とその研究開発の様子について紹介する。


菊池先生の発表の様子