釧路高専第5回若手理・工学セミナーを開催しました

釧路高専第5回若手理・工学セミナーを開催しました

 平成27年8月12日(水)及び13日(木)の2日間,本校大講義室において,日本各地から様々な分野の研究者にお集まりいただき,第5回の若手理・工学セミナーを開催しました。

本校からの参加者は以下のとおりとなりました。
発表 電気工学科 斎藤 誠紀
電子工学科 渡邊 駿
建築工学科 馬淵 大宇
機械工学科 福地 孝平
座長 電気工学科 野口 孝文
建築学科 桒原 浩平
一般教育科 岡 康之
電子工学科 大前 洸斗
情報工学科 鈴木 未央

 一般参加者18名に加え,本校の学生も14名参加し,分野を越えた熱い議論や質疑応答が繰り広げられました。また,本校の学生からも,大学生活,研究に対するモチベーションや内容に関する質問が出るなど,大変有意義な機会となりました。

 なお,第6回若手理・工学セミナーは,2016年夏の開催を予定しております。
 お問い合わせは,世話人の福地 孝平(本校 機械工学科)までよろしくお願いします。
電話: 0154-57-7297
e-mail: k_fukuchi@mech.kushiro-ct.ac.jp

本セミナーの講演プログラムは,こちらです。

具体的な発表内容は以下のとおりになっております。

「斎藤 誠紀先生」(本校電気工学科 助教)

題目:希ガスプラズマ―タングステン相互作用系の二体衝突近似計算

アブストラクト:
タングステン材にHeプラズマを照射すると,ヘリウムバブルや繊維状のナノ構造がタングステン材表面に形成されることが実験研究により知られている。本研究では,ヘリウムプラズマ照射にともなうタングステン材構造の動的変化を二体衝突近似計算を用いて原子スケールで調査する。


齋藤先生の発表の様子

「梅田 耕平研究員」(北海道大学大学院理学研究院 専門研究員)

題目:佐藤超関数論の紹介と最近の展開について

アブストラクト:
佐藤超関数論とは佐藤幹夫氏により創始された,関数概念を拡張する理論である。様々な研究者の成果により, microfunctionの理論, D加群の理論,フーリエ超関数の理論等,多方面への発展を遂げてきた。本講演では,これらの一部の理論について簡単な解説や,最近の展開についての紹介を目指す。最後に自身の研究テーマであるラプラス超関数論の最近の研究成果についてご紹介する。


梅田さんの発表の様子

「平山 浩之研究員」(名古屋大学大学院多元数理科学研究科 学振特別研究員PD)

題目:Well-posedness and scattering for fourth order nonlinear Schrodinger type equations

アブストラクト:
本講演では非線型項に1階の微分を含む非線型4次シュレディンガー方程式の初期値問題について考える。 4次シュレディンガー方程式は線型 部分から従う分散性によって強い平滑化効果が得られることが知られている。 特にU2, V2型 関数空間を用いることで,時間減衰の臨界である1次元4次の非線型項を持つ場合にスケール 臨界なソボレフ空間において小さな初期値に対する時間大域的適切性および解の散乱を示す。


平山さんの発表の様子

「楢崎 政宏さん」(九州大学数理学府OB)

題目:プログラムの自動テストの紹介

アブストラクト:
プログラムの開発では,仕様通り正常に機能することの確認が重要である。特にバージョンアップ時には,これまでは正常だった機能に不具合が起きないこと(デグレードが発生していないこと)のチェックが求められるが,同じテストを何度も実施するのは面倒である。本公演では,Webアプリケーションの操作を自動で行うツールの1つとしてJUnit・Seleniumを,実演を通して紹介する。


楢崎さんの発表の様子

「福地 孝平先生」(本校機械工学科 助教)

題目:炭素繊維含有アルミニウム基複合材料の機械的性質と微視観察

アブストラクト:
近年,軽量高強度のアルミニウムに炭素繊維を含有した複合材料の開発が盛んに行われており,金属基の複合材料として,繊維強化プラスチックにはない高い熱伝導特性などに注目が集まっている。本発表では,様々な複合材料の製造法について概要を述べるとともに,本複合材料について微視観察を行い,製造法や加工法の違いによる微視組織や材料特性への影響について検討する。


福地先生の発表の様子

「馬淵 大宇先生」(本校建築学科 助教)

題目:VRとストレス指標を用いた建築設計プロセス

アブストラクト:
ものづくりの領域では,これまでの製作者・利用者の枠組みを超えて,両者がコ・クリエーション(共同創造)する取り組みが注目されている。建築設計においても利用者の視点を取り込むさまざまなアプローチが試みられてきたが,十分とは言えなかった。本講演では,「VR(Virtual Reality)」と医療・心理分野における「ストレス指標」を導入することで,建築設計におけるコ・クリエーションの可能性を紹介する。


馬淵先生の発表の様子

「鈴木 俊夫さん」(筑波大学数理物質科学研究科数学専攻 博士後期課程2年)

題目:一般化された高木関数とそのウェーブレット展開について

アブストラクト:
高木関数とは,1903年に発表された,至るところで微分不可能な連続関数である。この関数は,現在も多種多様な研究が行われている。本講演では,高木関数を力学系に基づいて一般化し,その微分不可能性について議論する。また,そのウェーブレット展開の表示も得られたので報告する。


鈴木さんの発表の様子

「渡邊 駿先生」(本校電子工学科 助教)

題目:単一カオスニューロンによる連想的記憶表現

アブストラクト:
多くの生物は,多様な情報を記憶し,関連情報や記憶から特定の記憶を思い出すことが出来る。記憶は脳を代表する機能の一つであり,アルゴリズム的表現や脳組織破壊,生理学的実験などによりそのメカニズムの解明が試みられている。その結果,記憶は神経細胞(ニューロン)で行われること,またニューロンの性質としてカオス性があることが解明された。しかし,記憶とカオス性の相互の役割について未解明な点が多い。本講演では近年の脳研究と,本研究で調査した単一カオスニューロンによる記憶表現へのカオス性の役割について紹介する。


渡邊先生の発表の様子

「菊池 崇志先生」(長岡技術科学大学大学院工学研究科原子力システム安全工学専攻 准教授)

題目:パルス大強度荷電粒子ビームの物理工学

アブストラクト:
粒子加速器を用いて作られる粒子ビームは様々な分野で利用されている。特に,パルスパワー技術によって発生できる粒子ビームは大電流であることが特徴で,慣性閉じ込め型核融合への応用を目指した研究・開発によって大きく発展した。しかし,このような大強度荷電粒子ビームでは,相対論や空間電荷効果の影響が無視できず,非線形で複雑な振る舞いをする。本講演では,パルス大強度荷電粒子ビームの物理工学について理論,数値解析,実験結果および応用について紹介する。


菊池先生の発表の様子

「二瓶 泰範先生」(大阪府立大学海洋システム工学分野 准教授,東京大学総合研究機構 特任研究員)

題目:浮体式洋上風力に関する水槽試験の取り組みと実海域試験の取り組み

アブストラクト:
浮体式洋上風力に関する研究開発は,エネルギー問題を背景に世界各地で積極的に行われてきている。発表者らはこれまで浮体式洋上風力に関する水槽試験や実海域試験に取り組んできた。本発表では,世界で行われている水槽試験の技術的な取り組みを概説するとともに,発表者が行ってきた水槽試験について紹介する。また,実海域試験を石川県穴水町の海域で実施した。発表では本実海域試験についても紹介する。


二瓶先生の発表の様子