材料開発研究室(1F)
エネルギー、情報と並んで21世紀の産業を支える柱である材料開発は、金属やセラミックス等色々な種類があり、その性質や機能、用途も異なり無限の可能性が秘められています。
材料開発研究室ではサーボパルサーによる材料の疲労耐久性評価、そして誘導加熱式高周波真空溶解炉、X線回折システムといった装置の他にも、真空蒸着装置、高周波スパッタ装置を備え、金属素形材の信頼性向上と高機能化、金属材料のリサイクルと新素材開発、熱電半導体および半導体材料の高機能化、金属、半導体、絶縁体薄膜の新材料開発など、有用な新材料開発を目指し、プロセス加工技術研究や、材料の性質及び機能の改良並びに評価研究を行っています。
誘導加熱式高周波真空溶解炉
溶解する金属を耐火物ルツボの中に入れ、その周囲に巻かれたコイルに高周波電流を流すと、電磁誘導作用により金属に2次誘導電流が生じます。この電流による金属のジュール熱(I2R損)を利用し、真空タンクの中で素材を融点以上に加熱・溶解する炉が誘導過熱式高周波真空溶解炉です。
X線回析システム
あらゆる結晶物質は、その物質固有の結晶構造を持っています。X線回析法とは、物質にX線を照射し、X線の回析現象を利用することで、物質の定性分析(どんな物質が含まれているか)及び、結晶構造や結晶子サイズ、物質内部の応力等の情報が評価できる測定方法です。
電気化学測定システム
金属表面に腐食が生じると、その表面には電気化学的溶解が起こり、金属はイオンとして溶解します。これにより、アノードでは電子を放出し、カソードでは電 子を受容することから、腐食電流が流れ、電位の勾配が生じます。電気化学的計測システム本体には、電気化学における種々の測定および解析に必要な機器を内蔵し、充実したソフトウェアを備えていますから、各物質の分析から電池・腐食等電気化学の広い分野で使用できます。
疲労耐久試験機サーボパルサー
疲労試験、耐久試験は試験片や製品に一定の周波数で負荷をかけ続け、破断するまで の回数を調べる試験です。 引張、圧縮、曲げなどの試験方法があり、試験結果は縦軸に応力振幅、横軸に破断回数 を取るS-N曲線(Stress-Number Curve)というグラフによって表されます。 疲労限度に安全率を考慮して、許容応力を決めることで安全な疲労強度設計に活用されています。
※株式会社島津テクノリサーチ(https://www.shimadzu-techno.co.jp/annai/tes/s09_01.html)より引用
環境試験研究室(1F)
寒冷地及び海岸地方特有の凍結融解作用や塩害は、材料の耐久性の低下や建築物の劣化に大きな影響を及ぼします。本研究室に設置する塩害試験装置は、 RILEM(国際材料構造試験所連合)に提案されたコンクリートの凍結融解作用 による検査法が再現できる日本で初めての試験装置です。
これはデジタルプログラム温度調節計により貯水槽の冷却水(ブライン)を冷却・加熱し、供試体 の温度を調節するもので、凍結融解作用の繰り返し制御(1日2サイクル)が可能です。
用例として、
1.各種塩類の凍結融解作用に伴う建築材料への影響
2.融雪剤等のコンクリート鋪装への影響
3.各種サイディング材の凍結融解抵抗性
などを検討することができます。
塩害試験装置
寒冷地特有の問題である凍結融解作用及び海岸地方の塩害に対する建築物の劣化や、材料の耐久性に関し、塩害と凍結融解作用を実験室で再現できる設備です。
光計測加工研究室(2F)
光を用いた計測は直接的に触れずに計測可能で、「非接触非破壊計測」と呼ばれます。長さの測定では,光の波長程度(サブミクロン)からキロメートル という長距離まで、広範囲の計測が可能です。画像という2次元情報を瞬時に変換できることから、空間情報処理の手段としても有効です。また、レーザーは非常に高いエネルギー密度をもつことから、加工にも利用されています。
光計測加工研究室では2台の光学定盤を備え、干渉測定や位相測定など、さまざまな光学測定が可能です。また、レーザマーカでは金属、ビニールのような透明材料、プラスチックのような高分子材料など、さまざまな材料の表面に文字、図形を非接触で刻印することができます。(設備更新計画中)
共同研究室(2F)
共同研究室には、GC-MS計を設置しています。ガスクロマトグラフと質量分析計を結合した装置で、ライブラリー検索と組み合わせ、混合試料中の化合物を知ることができます。
オプションとして、熱分解装置やヘッドスペースサンプラーなどがあります。熱分解法は、高温で熱分解して得られる分解生成物を装置に導入し分析します。ヘッドスペース法は試料を一定温度に加熱して、試料中の低沸点物を揮発させ装置に導入し分析します。
これから合成した化合物の構造解析、環境中水の揮発成分、食品、化粧品などの香気成分、においの成分分析、プラスチック、ゴム、樹脂などのポリマーの分析等に使用できます。
多目的教育研修室(2F)
この研修室は、42名収容の一般市民向けの公開講座、講習会、セミナー等のために用います。